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2024/05/14 (Tue)

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夢の中で忘れられた名前

2009/07/13 (Mon)

私は数名の団員を率いる座長らしかった。
背はあまり高くない。
フリークスかもしれないし、サーカスかもしれない。

その団の一番の宝は“歌姫”であった。
陽だまり色の服を着て、彼女が歌う。
すると、あたたかな草地の上に、猫が幾百と丸くなる。
それがきちんと毛並みの色ごとになっているものだから、
私はその数に驚きつつ、色分けの効果に笑う。
私はその人を、現実世界で姫と呼んでいる。

私がよく知る公園に、よく似た公園。そこが夢の舞台であった。
秋に行う大道芸のような空間に、たくさんのサーカスや芸人や、
私たちの一座のような者が来ていた。

歌姫がとある小さなステージで歌ったあと、
二人の黒い魔女に、彼女は目をつけられた。
控え室につながるテントの階段に、私たちがたむろしていた時のことだ。

私は座長として、団員を守らなくてはならない。
彼女を見られぬように“クイナ”に命じて隠そうとしたが、
どうやら遅かったらしい。

“クイナ”は、常に私がイメージするFF9のクイナではなかった。
確かにピンク色をして、けったいな服をまとってはいたのだが、
いつものあの、卵のような体型ではなかった。
ピンク色のシルクハットさえ被っていた。謎だった。

とにかく、手遅れを察した私は、歌姫ともう一人の団員に対して、別の団に匿ってもらうようにと命を下した。
同じところにいては見つかってしまうと思ったからだ。

やや時間をおいて、私は歌姫ともう一人の団員を呼び戻すため、うろうろと捜索に向かった。
団はたくさんあったが、絶対に見つかることはわかっていた。
なぜなら、姫だからだ。

彼女らが潜伏していたのは、顔見知りではないが、私のところと
似たような一座だった。
歌姫は、2本のベルト装飾がついたシルクハットに、黒い服を着ていた。
白い肌が映えて奇麗だったのは言うまでもない。
戻ってくるよう告げると、彼女は
「なんだ、もう来たのか」という事を言った。
どうやら、別の一座にしばらくお世話になる気でいたらしく、
出番までもらっていたらしい。

その一座の座長は、白髪のひげ面で、
髪は博士のようにうねうねと伸びていた。
事情を簡単に話すと、物のわからない人ではなかったようで、ただ
「わかった」とだけ告げて黄色いテントの奥へと消えていった。

「事情も告げずに居たのか」という私の言葉は、
マネージャーの女にさえぎられた。
「別に私はいいんだけどさ?自分の書き割り変えるくらいは」

「すまないな」と私は言った。
「もう一人、来ているのではないかと思うのだが、」
そう言って私は、その、もう一人の名前が、
いつも呼んでいる名前の方しか、(つまり苗字でないほうだが)
思い出せないことに気づいた。

私は、なぜ忘れてしまっているのか、よくわからなかった。

そんなに忘れたい名であったのか、
そもそも、覚える気のない名前であったのか、

忘れたくないのに、忘れてしまっていたのか。


寝る前に読んだ「品川猿」が、彼女と私の名前をもっていったのだろうか。
そういえば、私自身の名前も、一度たりとも出てきはしなかった。
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人の話きく人
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セクマイ道7年生くらい?
心理臨床とセクマイと発達凸凹を応援するよ!

ここにあることばと存在が、私のプロダクト。
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