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『見たくない私と、言いたくない君の話』

2012/10/17 (Wed)


「見たくない私」はメドゥーサの瞳を持つ魔女。
その瞳は他人を害するゆえに、魔女は自分の瞳を失うことにする。
物理的に閉ざされた視界。頼りになるのは聴覚。
失った視覚情報を補うように、魔女は沈黙さえ読み解くようになる。
やがて魔女のわかることは視界よりも遠く、聴覚の範囲に及んだ。

「言いたくない君」の仕事は守番。
他人に知られては困る事が多い、秘密の多い仕事だ。
何を守っているのか、どのように守っているのか、何の為に守っているのか。
言ってはならない事、言いたくない事が多い。多い。
それゆえ、守番は口を閉ざすのが習いになった。
魔女が瞳を失った時、守番は喜んだ。
言葉のない自分の存在は魔女の世界から消え去った!

ところが魔女は、何も言わない守番の沈黙を読み解くようになる。
ついに魔女は、知られては困る事を知るようになった。

守番はわけがわからない。
わからないのだ。なぜ、魔女がそのことを知っているのか。
だからわかることに執着した。
わかることは何か。
守番が唯一魔女に関してわかることは、魔女を殺さなくてはならないということだ。
それが、守番の仕事だからだ。


守番は仕事を終えた。
なすべき、とされたことは皆終えた。
魔女はこの世界から消え去った。
守番はどうなったか。安堵したか。

いいや、全く。

自分が黙ったところで、
魔女の視界が消えたところで、
音が届かなくなったところで、
そんなものは役に立たない。

魔女はどこかで、守番の沈黙を読み解いているに違いないからだ。
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もんもんもん

師匠はやっぱ物書きさんだなあ。決して長く無い文章なのに悶々とさせられますね。殺すしか方法無かったのかなあ?轟音で鼓膜破っちゃえば良かったような。
  • ぺー太郎
  • 2012/10/18(Thu)01:16:01
  • 編集

ふんふんふん

>ぺー太郎

書くときは書きますよ。そして書きながら、読みながら悶々としてるよ、わたしもね。
森番が、自分の安心のためにどんな方法があるか、魔女と話をしていたら、少しは違ったのかもしれませんし、そーでもないのかも、しれない。
やつも哀れなのです。
【2012/11/20 22:31】

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