思考社
いんふるえんす我丞の情報発信基地。
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藍色の丹で符送された手紙
記し始めは紅玉と 篩う玉串風に薙ぐ
対価代価を取らすとは たきそよぐ枝や藍稲の蓬
アテビトの名は第93代目ホムラ
見つけ出だすは希代の刃
伝えしことは是より後に。
手紙、定期連絡として符送させてもらう。
先に私事を。
桜子様より、俺にも命が下った。
反抗分子と政府との間諜役だ。
従兄弟のお前が十で命を受けたのを見たあの時、正直とても羨ましかった。
国中の秘所に立ち入り放題、伝授奥義の類は全て手に入るし、
いくらでも門と夢見人を使えて、仮宮を与えられて、
桜子様にも直接お会いできて。
やってる仕事が暗殺だと知ってからも、然して変わらなかったさ。
紫族に居る以上は国の密命を帯びなきゃ認められないし、飯を摂るのも生物を殺すのも似たようなものだ。
だが、俺にとって桜子様は別格だ。あの方に会える、本当はただそれだけが妬ましかったのかもしれない。
扉主だからではなくて、俺が、全てで慕っているから。
そしてあの方は俺に、自分を忘れて暗の跋扈する世に出て行けと、命を下したんだ。
俺では、あの方の隣にはいられないのだそうだ。
不安なんだ。
ずっと、変わらなかった桜子様までもが、変わってしまう気がしてならない。
言い表しにくい事ではある。だが、逆雨が全てを落とし流していくような感触があって、なぁ、お前なら何か知っているんじゃないか?
国王にも面識ぐらいあるだろう、研究所や流見台にも出入りがあるだろう?俺はこれから、何に巻き込まれて、一体何に流されていくんだ?
是より後に定時を。
叔父兄殿は相変わらず漏明宮と帝都との行き来で稼いでいる。半期は優に超えるだろうな。主に新都市方面の原石、隷都の硝石。
レステク殿は本家宮に逗留。通商許可が下り次第大陸まで行く予定。こちらも原料石。
お前の伯母上は研究機関廻りから未だ帰っていらっしゃらない。
他はみな通常どおり動いている。
沙漠境界付近で地価のレートがあがっている。だが取り引きをしている者がトーレイとも震とも判別がつかない。
近いうちに、試験を受けるために帝都まで行く予定がある。
都合がついたら本宮2階宛てに返事をくれ。
伝えし言は是より前に
振り柄の持ち手は夜水底が色
記し終わりは水もて封ず。
対価代価を取らすとは たきそよぐ枝や藍稲の蓬
アテビトの名は第93代目ホムラ
見つけ出だすは希代の刃
伝えしことは是より後に。
手紙、定期連絡として符送させてもらう。
先に私事を。
桜子様より、俺にも命が下った。
反抗分子と政府との間諜役だ。
従兄弟のお前が十で命を受けたのを見たあの時、正直とても羨ましかった。
国中の秘所に立ち入り放題、伝授奥義の類は全て手に入るし、
いくらでも門と夢見人を使えて、仮宮を与えられて、
桜子様にも直接お会いできて。
やってる仕事が暗殺だと知ってからも、然して変わらなかったさ。
紫族に居る以上は国の密命を帯びなきゃ認められないし、飯を摂るのも生物を殺すのも似たようなものだ。
だが、俺にとって桜子様は別格だ。あの方に会える、本当はただそれだけが妬ましかったのかもしれない。
扉主だからではなくて、俺が、全てで慕っているから。
そしてあの方は俺に、自分を忘れて暗の跋扈する世に出て行けと、命を下したんだ。
俺では、あの方の隣にはいられないのだそうだ。
不安なんだ。
ずっと、変わらなかった桜子様までもが、変わってしまう気がしてならない。
言い表しにくい事ではある。だが、逆雨が全てを落とし流していくような感触があって、なぁ、お前なら何か知っているんじゃないか?
国王にも面識ぐらいあるだろう、研究所や流見台にも出入りがあるだろう?俺はこれから、何に巻き込まれて、一体何に流されていくんだ?
是より後に定時を。
叔父兄殿は相変わらず漏明宮と帝都との行き来で稼いでいる。半期は優に超えるだろうな。主に新都市方面の原石、隷都の硝石。
レステク殿は本家宮に逗留。通商許可が下り次第大陸まで行く予定。こちらも原料石。
お前の伯母上は研究機関廻りから未だ帰っていらっしゃらない。
他はみな通常どおり動いている。
沙漠境界付近で地価のレートがあがっている。だが取り引きをしている者がトーレイとも震とも判別がつかない。
近いうちに、試験を受けるために帝都まで行く予定がある。
都合がついたら本宮2階宛てに返事をくれ。
伝えし言は是より前に
振り柄の持ち手は夜水底が色
記し終わりは水もて封ず。
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not Re ~2~
挨拶もそうそうにごめんなさい。けど僕は今とても怒っています。
僕は今北の穏里という所に来ています。どうやら艇の目的地のひとつのようです。
それで何を怒っているかというと、(書いていたらだんだん収まって来たけれど)授業では教えてくれませんでしたが、ここでは星が見られません。
別に僕はそれは仕方が無いと思う。星は空気の歪や干渉の度合いなんかで地方ごとにものすごく条件が変わるから見えないところがあったって構わないとも論誌には書いたよ。
だけどね、村の人たちは星なんて無いほうが良いとまで言うんだよ。もちろんこの里から出たことの無い人だっているかもしれないけど、
それでも見たところ4、5割の人は村から出たことがあるみたいだし、その時に星も居融の月も体験している。
それを、なんだって星が無いのがいいんだ。僕にはわからない。
ペンのままにぐしゃぐしゃと書いてしまったけれど、きっと君もここに来たら、同じ事を思ってくれるでしょう。
僕らにとって星は空高くに輝いていて、触れることも聴くことも出来ない存在だけれど、それでも僕らの護り符にも生まれたときから入っているし、
たとえ星見の学者さんたちが汚い物質と昌鉄の塊だと言っても、僕らには近しい存在だって事に、変わりは無いんです。
君は、こんな空を見たことがないでしょうね。
淡綾座も無いし、遠弓座も無い。僕らの住むディエルフィカに一番近いケルダも無い。
"左の高山脈"で赤く見える二の月だけが見えるんです。
今頃なら、いつものバルコニーから右上へ4葉の位置に、君の護り星が見えるはずです。(ついでにそのすぐ上が僕のです)
回り道をしてしまったけれど、今度こそ帝都から手紙を書きます。
星の無い谷で まだ少し怒っている学人より
砂漠の底にて書かれし手紙
何の言もちて君に伝えん。
永く慕ひてくれし君に、一つ、別れを請うならば。
我は紫の扉主にして、国の闇裏を知りし者。
故なれば、其の扉主たるを否むもあらず、唯国に仕ふ。
君に命ず。
表にては、鳴鉄の主ら反抗分子の呼びに応え
裏にては、族と国とに仕えよ。
本なれば、此が上が手紙の伝ふべき様。
なれど、言い措かずには去られぬものを。波瑠の香砂も崩るを厭ふ。
君が幼き時よりくれし譜、様々のつたえ、砂漠の奥底に秘められし我にはいかでか嬉しきものなりし。
我が生きる幾千もの年月、其がうちの一日にも天高き世を見れしは、
君といふ光ありてこそ。
今にして、謝意を申せん。
君は我が高窓の光。
故ぞ、此の手紙の書きたるは。
光の薄明なるを閉ざさんとしての所業にあらざる。
君、族と国とに仕ふるならば、我の影夢、忘れたまへ。
光は我が憧憬なれど、我は光の響手にあらず。
光に闇はそぐわぬものぞ。
されど君よ、案じてくれるな。
近く、君に添う者の現れように。
光には、光の天分あり。
此れより後、君を流さむとするは漠たる此の国の砂。
砂塵に帰するな。世に抗え。
余人は其とはわからずとも、光の脈は彼の児らには見えておろうぞ。
彼の児らは君を見出し、此の世の運命の稜線へと誘ふらむ。
行きたまへ。我が光よ。
直ぐに、君が儘に。
永く慕ひてくれし君に、一つ、別れを請うならば。
我は紫の扉主にして、国の闇裏を知りし者。
故なれば、其の扉主たるを否むもあらず、唯国に仕ふ。
君に命ず。
表にては、鳴鉄の主ら反抗分子の呼びに応え
裏にては、族と国とに仕えよ。
本なれば、此が上が手紙の伝ふべき様。
なれど、言い措かずには去られぬものを。波瑠の香砂も崩るを厭ふ。
君が幼き時よりくれし譜、様々のつたえ、砂漠の奥底に秘められし我にはいかでか嬉しきものなりし。
我が生きる幾千もの年月、其がうちの一日にも天高き世を見れしは、
君といふ光ありてこそ。
今にして、謝意を申せん。
君は我が高窓の光。
故ぞ、此の手紙の書きたるは。
光の薄明なるを閉ざさんとしての所業にあらざる。
君、族と国とに仕ふるならば、我の影夢、忘れたまへ。
光は我が憧憬なれど、我は光の響手にあらず。
光に闇はそぐわぬものぞ。
されど君よ、案じてくれるな。
近く、君に添う者の現れように。
光には、光の天分あり。
此れより後、君を流さむとするは漠たる此の国の砂。
砂塵に帰するな。世に抗え。
余人は其とはわからずとも、光の脈は彼の児らには見えておろうぞ。
彼の児らは君を見出し、此の世の運命の稜線へと誘ふらむ。
行きたまへ。我が光よ。
直ぐに、君が儘に。
果実酒の香る手紙
拝啓 紫族の扉主様
弟子、蒼殿にユーリィから呼び出しがかかっております。
蒼殿の任務離脱の許可、早期の通達をしていただきたく連絡した次第です。
きっとユーリィったら帝都に手紙が回るのが嫌だったのね。
わざわざ小さな楊鳥に運ばせてきたのよ。
帝都といえば・・・そう、ついさっき帝都に青年を見送ったわ。
その子、星に興味があるみたいで、ほら、うちにも半球屋根と大陸物の星見筒があったでしょう?
使っていいわよって言ったら、明け方まで丸屋根に登っていて。
その子がね、こんな事言うの。
「この星空は誰の物なんでしょうね」って。
初めは少し違和感があったの。
"天は三人の神様のもの
地は母神マリア様のもの"
どれほど小さい頃に言われたかしら。
私は普通の街娘だったから、他の神様を信じることもなくて、そして沢山のお客様に出会って
今はもういないけれど、夫にも出会って。
すべては四人の神様の思し召しなのだと思って生きてきたわ。
けれど、どうなのかしら。星空や天空は誰のものだと思う?
神様のもの、国のもの、それとも他のものかしら?
なぜこの歳にもなってこんな事が不思議なのかと思われるでしょうね。
今まで沢山の人たちの沢山の考えに接してきたのに、いまさら、思案することでも無いかもしれないわ。
でもね、夫も、眠りにつく少し前まで沢山のことに疑問を投げかけていたの。私と朝食をとりながら、どうして私が愛しているのかなんて考えだすのよ、まったく 困った人。
きっとあの人のせいね。私にまで疑問符が移っちゃって。
つらつらと長くなってしまって、ごめんなさいね。
そろそろお店の準備に戻らなくては。
どうぞお体に気をつけて日々をお過ごしくださいますよう。
サロン ラピ・ロゥ店主より
弟子、蒼殿にユーリィから呼び出しがかかっております。
蒼殿の任務離脱の許可、早期の通達をしていただきたく連絡した次第です。
きっとユーリィったら帝都に手紙が回るのが嫌だったのね。
わざわざ小さな楊鳥に運ばせてきたのよ。
帝都といえば・・・そう、ついさっき帝都に青年を見送ったわ。
その子、星に興味があるみたいで、ほら、うちにも半球屋根と大陸物の星見筒があったでしょう?
使っていいわよって言ったら、明け方まで丸屋根に登っていて。
その子がね、こんな事言うの。
「この星空は誰の物なんでしょうね」って。
初めは少し違和感があったの。
"天は三人の神様のもの
地は母神マリア様のもの"
どれほど小さい頃に言われたかしら。
私は普通の街娘だったから、他の神様を信じることもなくて、そして沢山のお客様に出会って
今はもういないけれど、夫にも出会って。
すべては四人の神様の思し召しなのだと思って生きてきたわ。
けれど、どうなのかしら。星空や天空は誰のものだと思う?
神様のもの、国のもの、それとも他のものかしら?
なぜこの歳にもなってこんな事が不思議なのかと思われるでしょうね。
今まで沢山の人たちの沢山の考えに接してきたのに、いまさら、思案することでも無いかもしれないわ。
でもね、夫も、眠りにつく少し前まで沢山のことに疑問を投げかけていたの。私と朝食をとりながら、どうして私が愛しているのかなんて考えだすのよ、まったく 困った人。
きっとあの人のせいね。私にまで疑問符が移っちゃって。
つらつらと長くなってしまって、ごめんなさいね。
そろそろお店の準備に戻らなくては。
どうぞお体に気をつけて日々をお過ごしくださいますよう。
サロン ラピ・ロゥ店主より
楊烏に括り付けられた手紙
マダムに手紙を書くなんて、私にしては珍しい事だな。
今私はコードレータリアの近くに居る。
当然テントの中だよ。部下達が言い張ったんでね。
戦況は明らかにこちらの有利だ。あと1衛期もすれば決着がつくだろう。
気がかりといえばシエロブランチェの装甲軍がなかなか南海域から退かない事だが、奴らに神脈が見えている訳では無いし、見えたところで門を開いて使う事など出来ないはず。
あの海域はうちの軍は使わないからこれといった被害も出ないが・・・軍部から情報が洩れた可能性がある。
それも紫族か、総長以上の者だ。異術機構では無いだろうな。何にせよ、やっかい極まりない。内乱にでも発展しなければいいのだが。
ところで、
弟子どもと話がある。トワには連絡をつけた。後の3人を呼んでおいてくれ。
日程は、そうだな、公私混同になるが軍の旋帆艇で向かうから終戦発表から2周期といったところか。
相変わらず、私は手紙が苦手だな。
ここから先は下書きで6枚ほど紙を使った。
それでもやはり、この戦が終わる前にマダムに言っておきたかったんだ。
戦の中にある間にね。
こういう事をする度、
どこまで走っていけばいいのか、
いつになったら私の"終わり"は来るのか、幾度も思う。
誰か終わらせてくれないものか、と。
だがまぁ、戦が終わればいつもの私だ。
酒と賭博と美食好きの、十二歳の民間人だ。
姿を変えられるだけ、気持ちの切り替えができて楽なのかもな。
訳あって黒翅に手紙を運んでもらう。私が行くまで宜しく頼む。
鳴鉄の主より
今私はコードレータリアの近くに居る。
当然テントの中だよ。部下達が言い張ったんでね。
戦況は明らかにこちらの有利だ。あと1衛期もすれば決着がつくだろう。
気がかりといえばシエロブランチェの装甲軍がなかなか南海域から退かない事だが、奴らに神脈が見えている訳では無いし、見えたところで門を開いて使う事など出来ないはず。
あの海域はうちの軍は使わないからこれといった被害も出ないが・・・軍部から情報が洩れた可能性がある。
それも紫族か、総長以上の者だ。異術機構では無いだろうな。何にせよ、やっかい極まりない。内乱にでも発展しなければいいのだが。
ところで、
弟子どもと話がある。トワには連絡をつけた。後の3人を呼んでおいてくれ。
日程は、そうだな、公私混同になるが軍の旋帆艇で向かうから終戦発表から2周期といったところか。
相変わらず、私は手紙が苦手だな。
ここから先は下書きで6枚ほど紙を使った。
それでもやはり、この戦が終わる前にマダムに言っておきたかったんだ。
戦の中にある間にね。
こういう事をする度、
どこまで走っていけばいいのか、
いつになったら私の"終わり"は来るのか、幾度も思う。
誰か終わらせてくれないものか、と。
だがまぁ、戦が終わればいつもの私だ。
酒と賭博と美食好きの、十二歳の民間人だ。
姿を変えられるだけ、気持ちの切り替えができて楽なのかもな。
訳あって黒翅に手紙を運んでもらう。私が行くまで宜しく頼む。
鳴鉄の主より
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己
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我丞
性別:
非公開
職業:
人の話きく人
自己紹介:
人間27年生。
セクマイ道7年生くらい?
心理臨床とセクマイと発達凸凹を応援するよ!
ここにあることばと存在が、私のプロダクト。
見て、わからないことは聞いて。
セクマイ道7年生くらい?
心理臨床とセクマイと発達凸凹を応援するよ!
ここにあることばと存在が、私のプロダクト。
見て、わからないことは聞いて。
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